開発に至った経緯(開発秘話)
尾藤 輝行(Teruyuki BITO)
営業部(旧 機電部 営業課) 兼 品質情報管理室長
(LINKS開発責任者)
2013年中途入社。大学在学中と前職での経験を活かし、メンテナンス業向け統合基幹業務システムの開発を進めた。
また2016年4月より真空乾燥機の制御プログラムを設計、2019年11月より品質情報管理室長との兼務で営業課に在籍、2023年10月より営業部統括
兼 品質情報管理室長
LINKS導入前
当社もLINKSを開発・導入前は、ExcelとAccessでデータ管理をおこなっておりました。
ExcelやAccessは、手軽にデータ管理できる反面以下のようなデメリットがあります。
- 大容量のデータ処理ができない
- …行や列数、セル内の文字数などにさまざまな制約があります。
- 複数人による同時編集ができない
- …同時に閲覧することは可能ですが、同時に編集(登録や上書き)しようとすると、
エラーが発生したり、データが破損するおそれがあります。
(特にAccessなどのデータベースソフト) - 更新のリアルタイム差にかける
- …データが更新されても、リアルタイムに共有できないため、重複登録や上書きミスなどの
ヒューマンエラーも発生する可能性があります。
LINKS導入にむけて
まず私がおこなったことは、現状での業務のウィークポイントを洗いだしました。
当社の場合は以下の内容でした。
そこで上記のウィークポイントが解消できそうなパッケージソフトを検討し始めました。
パッケージソフトとは、市販品で汎用的に利用することが可能な、箱売りされたソフトのことです。
その当時に私が目標としていた
「部署ごとに運用されていた業務システムを一元化したパッケージ」のイメージ図
各部署、項目ごと(上記の内容の一つずつ)に対応するパッケージソフトは存在するのですが、
当社が目標とした、「全ての社内データの一元管理」にはほど遠いものでした。
例えば「御見積書や請求関係」などに焦点を与えると、そのようなソフトは既に市場にあります。
一方「御見積書や請求関係」と「実績データ(過去データ)の閲覧や検索」というように、
複数項目を一元管理しようとすると、そのようなソフトは市場にありませんでした。
そこで、パッケージソフトだけでなく、スクラッチソフト(オーダーメイド)での導入も
視野に入れました。
スクラッチソフトとは、1からオリジナルのソフトを開発するオーダーメイドのことです。
スクラッチソフトとして開発がスタート
スクラッチ開発においてのメリットは主に3つあります。
- 1.他社との差別化ができる
- 1からシステム開発するため、他社とは全く異なるソフトができます。
自社ならではの機能や既存の業務に合わせたソフトを作れるため、
業務をソフトに合わせる必要がいらないので、業務への負担は最小限に抑えられます。 - 2.予算に合わせやすい
- 1からシステム開発するため、パッケージソフトに比べてコストはかかりますが
不要な機能などにかけるコストを削ることは可能です。
また、バージョンアップ毎にコストをかけることができるため、必要最小限のコストに
抑えることができます。 - 3.長期間にわたって使い続けられる
- 使用状況によって、ソフトを随時改修(アップデート)できるため、使用者に合わせたソフトを
作ることができるため、長期間にわたって使うことが可能です。
またパッケージ開発の場合は、ソフト販売会社のサポートに支配され突然サポートが
終了してしまう可能性もあります。
スクラッチ開発の場合は、システムが終了するという心配はありません。
パッケージソフト(市販品) | スクラッチソフト(オーダーメイド) | |
---|---|---|
メリット | ・初期投資が安い ・短時間での導入 |
・業務内容に合わせたソフトを作れる (他社との差別化ができる) ・ランニングコストが低め (予算に合わせやすい) ・痒い所に手が届くソフトを作りやすい (長期にわたって使い続けられる) |
デメリット | ・業務内容をソフトに合わせる必要がある ・自社優位性の消失 ・ランニングコストが高め |
・初期投資が高い ・導入に時間がかかる ・カスタマイズに膨大な時間がかかる |
スクラッチソフトの方がメリットも多く、一元化したパッケージを制作することが可能と
思いましたが、当然デメリットもあります。
- 初期投資が高い
- …開発委託先のIT企業との共同開発(作業)を前提とし、弊社が開発において対応できる部分は
最大限おこないコストダウンを実現しました。 - 導入に時間がかかる
- …導入に時間がかかるのは、1から制作するので致し方ありません。
しかし、開発責任者が実際の環境に合うようにソフトを設計できるので、修正箇所が少なく
通常のオーダーメイド製品より大幅な時間短縮可能でした。 - カスタマイズに膨大な時間がかかる
- …カスタマイズも当社内で完結しているため、現在カスタマイズはフレキシブルに対応できています。
現在においては、スクラッチソフト(オーダーメイド)のデメリットは、
ある程度解決することが可能となりました。
また開発を進めていくにつれ、別の問題点が浮上しました。
下記表はシステム導入後の業務生産性(効率よく業務ができるようになった)の表ですが、
業務の生産性 | パッケージソフト(市販品) | スクラッチソフト(オーダーメイド) |
---|---|---|
上がった | 56.6% | 60.7% |
変わらない | 43.4% | 35.7% |
下がった | 0% | 3.6% |
スクラッチソフトを導入した場合、一部の方が業務の生産性が下がったと回答していることに
気づきました。
業務の生産性が下がった、つまり「せっかく導入したのに効率が悪くなった」という企業は、
ソフトウェアを開発した企業と、実際にソフトウェアを導入する企業との連携が取れずに、
使い勝手の悪いソフトウェアが産まれてしまったようです。
そこで当社では、開発責任者自身も「ソフトを使用する、一社員」と、
「各部署のまとめ役」となり、使う人すべてが、楽になるソフトウェアの開発をしました。
またLINKS導入前は、ICT活用成熟度は「1」だったのに対し、「4」を目標としました。
LINKSのデザイン
画面のデザインや画面推移など、人の手に触れる部分も当社でデザイン・設計しました。
主に下記の内容を重視しています。
- 小さい文字が見えづらい年配の方にも、視覚的・直観的なデザイン
- カーナビのように、だれでも使いこなせるような、迷わないデザイン
- 業務ソフトといえど、機能だけでなく、カッコいいデザイン
- 目的の画面を表示するのに、色々なルートからたどり着ける、
どこからでもリンクするデザイン
A案 | |
---|---|
B案 | |
C案 |
A案は一番時間をかけてデザインしましたが、いかにも業務管理ソフト(POSレジ)のようで、
直観的に操作するという観点から不採用、
最終的には、走り書きしていた「B案」と「C案」を採用しました。
このB-C案を実際に使用できるようにまとめ、コンセプトモデルの制作を行いました。
完成したコンセプトモデルを社内に公開にてテスト運用し、
社内すべての部署の意見をまとめ、約1年間かけてようやくプロトタイプが完成しました。
LINKSの沿革
- 2015年11月20日
- 本企画をスタート。当時の名称はB-MAS
B-MAS:Bussiness Manegement Softwareの略
(次期業務管理システムの仮称) - 2016年7月8日
- デザイン(GUI:ユーザーインターフェース)を構成し始める
- 2016年10月24日
- コンセプトモデル(β版)が完成
- 2016年12月2日
- プロトタイプが完成
- 2017年1月3日
- LINKSを試験運用開始
- 2017年2月13日
- マイナーチェンジ版の開発をスタート
- 2017年5月16日
- LINKSマイナーチェンジ版を公開
- 2017年11月30日
- 次期モデルチェンジ版の開発をスタート
- 2018年8月20日
- LINKS enhanced(モデルチェンジ版)を公開
(マイナーチェンジ:287回) - 2020年1月10日
- LINKS Ultimate(モデルチェンジ版)を公開
(マイナーチェンジ:458回) - 2021年9月17日
- 「業務管理システムとそのプログラム」として特許出願しました
(特願2021-151523)
2017年1月より運用し始め、今年で5年の歳月が経ち、
これまでおこなってきた大型アップデートは2回、LINKSは熟成の域に達してきました。
操作性は大きく変えておりませんが、できる機能はモデルチェンジごとに増えています。
次は現在開発中の「報告書作成ツール」のソフトウェア版を、LINKSとデータ統合する予定です。
現在の運用版のLINKS機能は、下記のリンクよりご覧ください。
上記事は2022年1月時点での内容です
※Windows11の動作確認済みです。(2022年1月現在)
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