かご形三相誘導電動機とは

かご形誘導電動機の用途と特性

 かご形誘導電動機は、あらゆる方面に最も広く使用されており、一般に電動機といわれるものの
大部分はこの電動機で、次のような特徴をもっています。

  • かご形三相誘導電動機構造が簡単で堅牢なため、故障が少ない
  • 運転が容易である
  • 保守および修理が簡単である
  • 比較的安価である

三相かご形誘導電動機の構造

 誘導電動機の主要な構成部品は
『固定子部分(ステーター)』と『回転子部品(ローター)』『軸受部品(ベアリング)』です。

三相かご形誘導電動機の構造

 ベアリングが組み込まれている「ブラケット」を外すと、
軸受部分(ベアリング)と回転する部分の「回転子(ローター)」があります。

固定子(ステーター)とローターの間の空隙は、効率や力率を向上させるため、
モーターの大きさにもよりますが、約0.5mm程度と極めて狭くなっています。

ブラケットとローターベアリングとローターとステータ













ステータ(stator)ロータ(rotor)











【ステーター(固定子)】              【ローター(回転子)】

モーターが回転するイメージ

 

「ステーター」の巻線(コイル)に交流電源を流すことで、回転磁界が発生させます。
ステーターから発生した磁界により、ローターに誘導電流を発生させ、
その電流と回転する磁場の相互作用によって回転子がつられて回転する仕組みです。

hp用アニメーション(4P用)hp用アニメーション(2P用)

 2P(二極対)                       4P(四極対)

※交流電源は、時間とともに周期的にプラス、マイナスが入れ替わります。
上図の「赤(U)」「白(V)」「青(W)」は、三相交流電源により発生する回転磁界の
イメージ図です。
ステーターに回転磁界が発生することにより、内部のローターが回転します。

 また上記イメージ図でも比較していますが、極対とはN極とS極の数のことです。
N極とS極の1組で2P(二極対)、N極とS極が2組あれば4P(四極対)というように、
偶数倍で増減します。またPはPole(ポール)の略語です。2ポールなどと呼ばれます。

 極数が多くなると、回転速度が遅く、トルクは大きく、力率が低下する傾向にあります。

  極数が少ない(2Pや4P) 極数が多い(6P以上)
トルク 小さい 大きい
回転速度 速い(2P:3600rpm、4P:1800rpm) 遅い(6P:1200rpm、12P:600rpm)
※回転速度は、電源周波数が60Hzのすべり等を考慮していない理論値です。
rpmはRevolution per minuteの略語で、一分間あたりの回転数です。
3600rpmの場合は、一分間あたりに3600回転します。

ロータ(rotor)

 ローターには、溝を軸方向に対して斜めに切った斜溝回転子がよく用いられますが、
ローターがステーターに対してどの位置にあっても、始動トルクが一様であるように、
また磁気的うなり音が軽減されるためです。

ブラケット ハウジング ブラケット

【ブラケット(ベアリングの外輪に接触する箇所をハウジングと呼びます)】

 ブラケットの内側、ベアリングを支持する箇所を「ハウジング」と呼びます。
このハウジングは、外径や使用するベアリング、モーターの種類により寸法の許容値が決められています。

 ベアリングの外径とハウジングの内径を適切に管理しておく必要があります。
ハウジングだけでなく、ベアリングの内径と軸の外径の「ジャーナル」の寸法も管理が必要です。

嵌め合い基準 ハウジング ジャーナル
上記表は一例となります。全てのモーターがこの許容値ということではございません。

 許容値を超えると、ベアリングを適切に保持することができなくなったり、
ローターがステーターの鉄心部に接触してしまい、焼損する恐れがありますので、
寸法は分解整備時に把握しておく必要があります。

 当社では、ハウジングやジャーナルが許容値を超えて摩耗している場合には、
溶射加工をおこない、寸法を許容値内に補修して出荷いたします。

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