定期的なオーバーホールをおすすめします。
モーター(電動機)をより長くご使用いただくためには、
定期的な保守点検やオーバーホールが欠かせません。


- 初期故障期
製品の初期不良、設計上の欠陥により故障率が高くなる傾向があります。
故障した不具合は徐々に修正されていくので、時間経過とともに故障率が下がります。 - 偶発故障期
製品の初期導入からある程度時間が経過すると故障率が安定していきます。 - 寿命期
製品寿命がきた状態であり、摩耗や劣化・損傷などにより、故障率が高まります。
定期的な保守点検やオーバーホールをおこない、
不良個所の早期発見をおこない故障率を低下させます。
ここでは電動機の分解整備(モーターオーバーホール)の流れをご紹介します。
輸送でのお持ち込みも対応していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
※場合によっては、下記と異なる作業もおこないます

⑴ 受入時試運転・検査
まず絶縁抵抗値および巻線抵抗値を測定し、異常がなければ定格電圧にて試運転します。
コイルが焼損・劣化している可能性がある場合には、試運転をおこなわずに整備課にて分解し、
固定子コイルまたは回転子コイルが巻線室に送られ、巻線課にてコイルの巻き替えをおこないます。
また電圧をかける前に一度手回しし、軸受に異常がありそうな場合にも、試運転はおこないません。

※絶縁抵抗値が著しく低下しているとき、巻線抵抗値の平衡率が5%を超えているときなど、
異常が確認された場合に関しては試運転をおこないません
⑵ 電動機分解・各部品測定
電動機を細部まで分解し、各部寸法に異常のないことを確認します。
各部品の計測には、適切なマイクロメーターを使用し、各部品の寸法が許容値内かを確認していきます。
振動モーターについては、ブラケットインロー部の嵌め合い測定も重要なポイントです。
通常モーターと違い単体での振動が大きいため、
嵌め合い不良の場合ブラケットが脱落する恐れがあります。
⑶ 部品清掃・洗浄・真空乾燥
各部品を清掃し、モーター内部の状況に応じて高圧スチーム洗浄・乾燥をおこないます。
ベアリングやオイルシールなどの消耗部品は新品交換します。

【真空乾燥機と大型乾燥機】
また機械加工での修理が必要な場合には、機械加工課にて溶射加工をおこなったり、
溶接補修や部品が入手できない場合には、機械加工課 製缶係にて現物合わせにて製作したりします。

⑷ 電動機組み立て・調整作業
洗浄・乾燥されたモーターはワニス処理され、固定子コイルの巻き替えが終わったもの、
機械加工が終わったものについては、再度寸法計測や電気的な試験ををおこない
異常がないことを確認し、再び整備課にて慎重に組み立てていきます。
※ワニス処理は、絶縁・耐熱・防塵・防湿、コーティングを目的とします

⑸ 出荷前検査・試運転
組立後、絶縁抵抗値・巻線抵抗値を測定、異常のないことを確認し、試運転します。

測定項目(通常時)
- 絶縁抵抗値測定
- 巻線抵抗値測定
- 各相電圧、電流値測定
- 振動値測定
- 異音調査
【高圧電動機出荷前試運転(3300V 700kW 2P)】
※直流電動機では別途ドロップテスト等の試験をおこないます
※高圧電動機の試運転は、電源容量の都合上300kW程度まで工場内試運転が可能です。
ただし650kW程度までの電動機の場合、印加電圧を下げ(例:880V)定格回転数にて
温度上昇試験や振動測定をおこなうことが可能です。
近年の実績では、
3300V 1100kW 16Pの電動機も、880V印加にて無負荷試運転をおこないました。
電圧の変動率 | 始動トルク | 同期速度 | 全負荷時の 温度上昇 |
全負荷電流 | 始動電流 |
---|---|---|---|---|---|
110%電圧 | +21% | 同等 | -3~-4℃ | -7% | +10~+20% |
標準電圧 | - | - | - | - | - |
90%電圧 | -19% | 同等 | +6~+7℃ | +11% | -10~-20% |
(+):増加する、(-):低下する
無負荷試運転については、印加電圧を降下させて試運転をおこなっても問題ございません。
(三相誘導電動機/巻線型電動機/直流電動機等によっても異なりますので、
詳しくは弊社担当者までお問い合わせください)
※強制給油の電動機は設備の都合上、工場内試運転はできません。

上記の例は一般整備時の作業となり、別途精密絶縁診断等を実施することも可能です。
